熊本地震の後 どういう流れになるのだろう?

マグニチュード9の大誤報

熊本地震から4ヶ月弱、2016年8月1日の夕方、「東京湾を震源とするマグニチュード9以上の地震が発生」という緊急地震速報が気象庁から流れた。
東京23区や神奈川、千葉、埼玉の各県で震度7以上、茨城、群馬の両県で震度6強以上の揺れを予測するものだった。

15秒後に取り消され、誤報と分かったのだが、首都圏でのこれほど大規模な地震の誤報は初めて。利用者のスマホに送られてきた地図は、首都圏を中心に震度7を示す色で埋まっていた。 
 

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なぜ、誤報が流れたのか?

当初、気象庁では、千葉県富津市にある地震計で大きな「ノイズ」を観測したことが原因として、落雷による電気信号のデータを地震の揺れと認識した可能性があるとしていた。

その後、8月12日に気象庁は、富津市に設置している地震計の電源部が故障し、出力される観測データが急激に変化したことが原因と発表した。電源部の故障の原因は、落雷が影響した可能性もあるが、特定につながる記録や痕跡がなく、特定は難しいという。

「予報」と「警報」の違い

緊急地震速報には、一般向けに携帯電話やテレビに強制的に配信する「警報」と、自治体や鉄道会社など特定の利用者に知らせる「予報」の二つがある。今回流れたのは「予報」だ。

「予報」は、鉄道などを早く停止させるために、速報性を重視する。そのため、1地点で揺れを観測しただけで、数秒あとに速報を流す。
一方、「警報」は、2地点以上で揺れが観測された場合に発表する。
 
今回の緊急地震速報は、一般向けに強制的に配信される「警報」ではなく、事業者向け「予報」だったので、1カ所の観測点だけでも発信された。 

2013年8月の大誤報「奈良県でM7.8」

過去には「警報」でも、最大規模の誤報が流れたことがある。
2013年8月8日の夕方。「奈良県でM7.8、最大震度7の地震が発生。九州から関東にかけて34都府県で震度4以上」というもの。

原因は、和歌山県北部でM2.3の地震とほぼ同時刻に、三重県南東沖に設置された海底地震計のノイズ異常が重なったとされている。 


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ノイズ異常が起きたのは、三重県南東沖の海底1000メートルに設置した地震計「東南海3」(上の図)

地震計が常時観測しているノイズが2秒弱途切れ、再び感知したノイズを地震の揺れと判断。和歌山北部と同時に揺れたと解析したコンピューターは、実際の約2億倍の巨大な地震が起きたと認識。緊急地震速報を出し、当時は、新幹線などのダイヤが大幅に乱れる事態になった。

ノイズが途切れた原因は、機器の故障や通信回線の異常などが考えられるという。



2013年11月、西之島が噴火

この三重県で誤報の起きた2013年の夏というのは、ザワザワした夏だった。

子供の頃から相模湾沿いに住んで、今までと違うザワツキ感を感じ始めたのがこの頃だった。地震の匂いというか、空気感が微振動する感じというか、、

4月には淡路島付近でM6(震度6弱)、三宅島近海 M6.2(震度5強)、鳥島近海 M6.7の深発地震。5月にオホーツク海 M8.3、これは、深さ623kmの巨大な深発地震だった。

夏場に高知県の室戸岬で、リュウグウノツカイやサケガシラなど81匹の深海魚が捕獲された。そして、8月8日、奈良 M7.8の誤報が流れた。
9月にも鳥島近海 M6.9の深発、10月に福島沖 M7.1のアウターライズ地震。

そして、11月に小笠原の西之島が40年ぶりに噴火。
前代未聞の長期に渡る活発なマグマ活動(およそ2年間)が続いて、新島を形成していった。

60年ぶりの 薩南地方東方沖 M5.4

西之島が噴火した翌年、2014年。
3月に、沖縄本島北西沖 M6.6、伊予灘 M6.2(震度5強)に続いて、薩南地方東方沖 M5.4(震度3)のアウターライズ地震があった。

目立たない地震なのだが、薩南地方東方沖 M5以上は、1954年以降60年ぶり。また、南西諸島海溝北部のアウターライズは、112年間で1回という稀な地震という。

8月になって口永良島が34年ぶりに噴火した。
9月に御嶽山の噴火、11月に長野北部 M6.8(震度6弱)があった。


2015年。5月29日、口永良島の新岳で大噴火が起こり、火砕流が海岸まで到達、全島民避難となった。
その翌日、5月30日、小笠原諸島西方沖 M 8.1(震度5強)震源の深さ682kmという記録的な大深発地震 が起きた。

箱根や桜島、阿蘇山の噴火警戒レベルもさらに引上げになった。

そして、11月14日、九州薩摩半島西方沖 M7(震度4)が発生。

 
この年の後半は、西之島のマグマ活動とともに活発になった各地の火山活動も、西之島の活動が低下すると、桜島、阿蘇、箱根も噴火警戒レベルが引き下げになっていった。

しかし、火山活動の低下のいっぽうで、11月に、九州薩摩半島西方沖 M7(震度4)が発生したことになる。気象庁によると、九州薩摩半島西方沖として、今回のM7は過去92年間で最大だった。

火山活動が低下したときの震災

また、長期の火山の活動が止まったときの大きな地震も懸念されていた。
過去には長崎県の雲仙岳。1990年に始まった噴火は、1995年3月頃まで継続したが、噴火のおさまった頃に、阪神淡路大震災が発生した。

活発な噴火を続けていた西之島も、2015年12月にいったん活動が終息したことが確認されたあとの、2016年4月の熊本地震だった。 


2016年。1月は、観測史上初だった沖縄の雪でスタートした。

3月14日にトカラ列島近海 M5.3(深さ230km)。東日本震災前の2011年3月7日にも、トカラ列島近海 M5.0があった。4月1日に三重南東沖 M6.1(震度4) 

4月14日 熊本県熊本地方 M6.5(震度7) 
4月16日 熊本県熊本地方 M7.3(震度7)

熊本地震 M7.3は阪神淡路大震災と同じ規模。内陸型(活断層型)地震でM6.5以上の地震の後に、さらに大きな地震が発生するのは、初めてのケースだった。

茨城南部・北部の地震

私が住んでいる相模湾沿岸の市では、国からの指示で緊急情報(地震・津波など)を、行政の防災無線で放送している。始ったのが平成21年8月からなので、東日本大震災の1年半前になる。
例のチャイム音が鳴り響いて、「緊急地震速報、大地震(おおじしん)です、大地震です。」と繰り返されるのだから、早朝に放送があったときなど、かなり驚いた。地震速報のチャイムは3回鳴って、そのうち2回は空振り(誤報)だった。

東日本大震災が迫っていたタイミングで始まった、この放送開始が前兆に思えないこともない。

2013年の奈良 M7.8 の誤報では、その後西之島が噴火しているし、そう考えると今回の東京湾 M9 の誤報はロクでもない。 
それにしても、茨城県はもともと地震が多いとはいえ、TVでも取り上げられている。
 
熊本地震から、ちょうど1ヶ月後からはじまった茨城南部・北部の地震

5月16日 茨城南部 M5.5 震度5弱
6月12日 茨城南部 M5.0 震度4 
7月17日 茨城南部 M5.0 震度4
(7月19日 千葉東方沖 M5.2 震度4
7月20日 茨城南部 M5.0 震度4
7月27日 茨城北部 M5.4 震度5弱 

7月30日 マリアナ諸島 M7.6 深さ260km
(USGS : M7.7 - 31km SSW of Agrihan, Northern Mariana Islands)
異常震域が起きて、千葉・神奈川などでも震度2を観測。

八丈島近海、伊豆大島近海の群発地震もあった。

(後記)
12月27日 茨城北部 M6.3(震度6弱)


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2015-05-30 M8.1 - 小笠原諸島西方沖

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2016-07-30 M7.6 - マリアナ諸島

関東大震災の場合

「関東大震災が迫った1923年5月から6月にかけて、M7.3を最大規模として、M6以上の地震が茨城県沖で6回も観測されている。」
「1、2ヶ月の間にM6を超える地震が6回も立て続けに起こることは、きわめて稀(まれ)といわねばならない」 
「同様に、1921年から3年連続で茨城県南西部でも大きな地震(M7.0、M6.1、M6.1)が起きた。」
(東京大学名誉教授 溝上恵氏)

関東大震災では、茨城沖や茨城内陸部でM6以上の前兆的な地震が発生している。
今現在の茨城での地震の規模は、それよりもずっと小さい。

明らかに流れというのはあるように思う。だけど、今現在つかみどころがないザワザワ感は続いている。この後、西之島がいつ活動を再開するのかも、ひとつのポイントになると思う。


(後記)
このあと、2016年
10月21日 鳥取中部地震 M6.6(震度6弱)
11月22日 福島沖 M7.4(震度5弱)
12月27日 茨城北部 M6.3(震度6弱)


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