*島の面積は12倍に
小笠原諸島の西之島で新たな噴火が確認されてから、11月20日で2年になりました。
島の大きさは東西が1900m、南北が1950mで、面積は東京ドームのおよそ56倍の、2.64平方km。
波による浸食の影響で9月よりもやや小さくなったものの、元の島のおよそ12倍になったということです。
火山活動は依然として活発で、海上保安庁の担当者は「2年間も継続してマグマが供給されるのは珍しい。毎月観測のたびに島の様子が変わっている」と語っています。
2013年11月20日 西之島の誕生
西之島(左上)の南側の海上に現れた新たな陸地。噴煙を上げているのが確認できる[海上保安庁提供] 【時事通信社】より
海上保安庁は、「小笠原諸島・西之島(東京都小笠原村)付近の海で噴火が起き、新たな陸地の出現を確認した」と発表した。
20日午後4時すぎ、観測に向かった航空機が、西之島の南南東約500メートルに、直径200メートル程度の陸地を確認。噴煙が約600メートルの高さまで立ち上っているという。
西之島は東京都心から南に約1000キロにある南北約650メートル、幅約200メートルの無人島。
1973年~74年にも周辺海域で噴火があり、新たな島ができたことがある。
2013年12月24日 島は成長
1ヶ月後には、前の島とほとんど合わさるまでに成長。
小笠原諸島・西之島(右)まで10メートルの距離に迫った新島
[海上保安庁提供] 【時事通信社】より
2014年7月23日 新たな火口
中央の火口に加え、左上の新たな火口からも白煙が立ち上った[海上保安庁提供] 【時事通信社】より
海上保安庁は2014年7月24日、西之島の北東部に、新たな火口が見つかったと発表した。
島中央部の従来の火口からは数分おきに溶岩片が噴き出し、噴煙も高度1500~2000メートルまで上昇。火山活動が以前より活発になっている。
2015年11月17日 爆発的噴火
火口から噴煙を上げる西之島[海上保安庁提供]【時事通信社】
海上保安庁によると、17日には火口で爆発的な噴火があり、噴煙は上空約300メートルに達した。
大きな噴石が火口から半径1キロの範囲に飛散して、噴火に伴う空気の振動によって、航空機でも揺れを感じるほど。
*西之島噴火後の火山活動など
2013年11月20日、西之島付近でのおよそ40年ぶりの噴火、そのあとの活発な活動に歩調を合わせるように各地で火山噴火や地震が起きています。
*2014年
4月 2日 チリ Iquique M8.2
8月 3日 口永良部島(鹿児島県)34年ぶり噴火
9月27日 御嶽山の噴火(噴火警戒レベル3)
*2015年
5月 6日 箱根山は噴火警戒レベルを1から2に
5月 7日 桜島(鹿児島市)の昭和火口の爆発的噴火 統計開始以来、最速ペース(噴火警戒レベル3)
5月29日 口永良部島(鹿児島)新岳で爆発的噴火、噴火警戒レベル5(避難)を発表
5月30日 小笠原諸島西方沖 M8.1(震度5強)682kmの大深発
6月30日 箱根山 噴火警戒レベルを2から3に引上げ
8月15日 桜島 噴火警戒レベルを3から4(避難準備)に引上げ
9月12日 東京湾 M5.2(震度5強)
9月14日 阿蘇山の噴火警戒レベルを2から3に引き上げ 昭和54年の噴火以来の規模
9月17日 チリ(46km W of Illapel)M8.3
11月14日 九州薩摩半島西方沖 M7(震度4)
*普賢岳の活動と比較して
海保によると、西之島の溶岩などの総重量は4億トンと推定。戦後に国内で噴火した火山では、平成2~7年の雲仙・普賢岳(長崎県)の2億4000万立方メートル(6億トン)に次ぐ規模となった。
戦後最大の火山噴火となった雲仙・普賢岳。
1990年(平成2年)11月17日 噴火活動を開始
1991年(平成3年) 6月 3日 大火砕流が発生
そして、噴火がほとんどおさまった1995年(平成7年)1月17日に阪神淡路大震災が発生した。
1990~95年まで続いた普賢岳噴火のあいだには、北海道などで大規模な地震活動が続いた。
1993年
01/15 釧路沖地震 M 7.5(震度 6)
07/12 北海道南西沖地震 M 7.8 奥尻島で震度6、奥尻島などに津波。
10/12 東海道南方沖で地震 M 6.9
1994年
07/22 日本海北部で地震 M 7.3 552kmの深発
10/04 北海道東方沖地震 M 8.2(震度 6 )
10/09 北海道東方沖地震 M 7.3
12/28 三陸はるか沖地震 M 7.6(震度6 )
1995年
01/07 岩手県沖で地震 Mj 7.2(震度 5)
01/17 兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)M 7.3 最大震度 7
★戦後最大の噴火規模となった普賢岳では、噴火がほとんどおさまった1995年に阪神淡路大震災が発生している。それに次ぐ規模となった西之島の噴火活動がおさまった。さらに、九州薩摩半島西方沖M7 が発生している。後続に大きな地震の起きやすい前例が2つ重なったことが懸念される。
(後記)
九州薩摩半島西方沖M7から5ヶ月後、翌年の2016年(平成27年)4月に、熊本地震が発生。震度7を2回記録した。